入院中の外出、外泊を知ろう!夫婦水入らずの最後だったのかも!

夫婦の散歩大腸がん

手術2日前に突然主治医がやってきて、

かっちゃんさん
今日は天気もいいし、

気分転換に外出してもきてもいいですよ!

聞き直しました!

外泊ですか?

いいえ外出です。1時間程度ならいいですよ!

今までの入院で言われたことの無い事だったので、少し緊張したこと覚えています。
単純に病院外に出れることも嬉しく複雑な心境でありました。

初めての入院中の外出許可

これまでの入院生活の中で、外出、外泊と言う言葉は私の辞書にはありませんでした。

外泊、外出には大きく分けて二つの捉え方があると思うのです。
一つは前向き、本当に病状が安定していて医師が目を離しても大丈夫な状態。
事務手続きは面倒だがスタッフサイドは仕事の負担が減るのかもしれない。
あくまでも私見です。

患者の社会復帰面についてもプラスになるであろうと思う。

跳ねる犬

もう一つは後ろ向きのもの。専門的知識を基に人間性をプラスして周囲も認める状態で、最後の一瞬を家族と一緒に過ごさせてあげるもの。

落ち込むカラス

この二つに分けられると思うのです。

早く病院から抜け出したいというのがのほとんど入院患者の本音であろう。
勿論私もその一人であり、

正直な話、入院生活において前向きになれる事は少なかった。回復の兆しが少しでも見えない限りは弱気になってしまうもの。

潜在的に入院や外泊にそんな二つのイメージがあった私にとって
医師からこの申し出があった時は明後日手術と言うタイミングだったのでプラスの材料には全く捉えられなかった。
イメージ的には、これからの厳しい闘病生活のためにせめてものプレゼントにしか思えなかった。
しかも外泊でなく外出であったから悲壮感とまではいかなくても、
晴れやかに喜んで行ってきますと言えるような感じではなかった。

でも後で冷静になって考えると機械作業で患者を診ているのではなく、きめ細かく多くの患者さんの事を考えて把握して治療のスケジュールを組み立てているのだと思いました。行き当たりばったり感が見えますがそうではありません。
私の体調も考慮して最良のタイミングであったと今になると言えます。

 

もう11月の終わりであったので防寒対策を十分して出掛けました。
いかに急な医師からの申し出であったかと言うのが分かる証拠に、
着替えもほとんど家に持っていってしまい、入院初日に履いてきた靴も家に持っていってしまったので、とてもアンバランスな格好で散歩に出かけた事をよく覚えています。

散歩コースとなる大学病院の周りには私の住んでいる市の中枢的施設が沢山ありまして、
市役所、警察署、図書館、スポーツ施設、博物館、裁判所、
そして、
何と言っても市民の憩いの場である
大きい公園があります。
航空公園

そこを40分位歩いたのでした。
ここは子供が小さい頃よく遊びに連れてきた馴染みの場所です。
思い出の場所なのでとても感傷的になってしまいます。

どうしても話題が前向きにならない!

  • 保険の手続きはは順調?
  • 会社の方からの連絡は?
  • 私の愚痴であったり、
  • 妻も体調が決して良くない事を知ったり…
    と良い話になる事はほとんどなかった。
散歩から帰るととてつもなく疲れを感じた事をよく覚えています。更に、病院内のウオーキングでトレーニングしていた自信が消え去っていました。

外泊、外出などについての規定

ちなみに、
私の外出は1時間程度の短いもので関係はありませんが、もっと長い時間、日数のもので食事などのルーティーンにかかわる金額に
ついては入院している時と同じように料金が生じることがあるかもしれないので、
金額についても各自チェックしてください。
そして、
途中で体調が悪くなったりと問題が発生することも十分考えられるので
申請書や許可証などが存在するのです。

私の今回の措置は、前日から考えられたものとかではないらしく、
また、私が外出、外泊を希望したわけでもないので、申請などの手続きなしで行われたイレギュラーのもののようです。

これは皆さんの利用している病院によって規定に違いがあると思いますのでしっかり調べてから外出、外泊しましょう

個人的見解として、外出、外泊は、患者の方の申し出がほとんどであると思うので、責任はこちらにありませんと言う意味合いの一文が必ず書面には記載されていることが想像できます。

もし何かの発作など起きていたらどうなっていたのでしょうか?
今となって言える事で、しっかりと許可を書面で取っておいた方が良かったのかもしれません。
今回の入院でそう思いました。

まだその重要性にこの時点では気づいていませんが…

人生何が待ち構えているか分かりませんからね!

ただこの時期に妻と深い話が出来たチャンスを与えてくれた医師には感謝しております。

感謝する鷹

入院患者の外泊外出許可まとめ

この外泊外出制度は制度の有無が病院によって違うと思うし、申請書の提出が求められる事の有無と場合の違いもあるでしょう。

例えば、
同部屋の入院患者とそりが合わない場合、少し外泊外出してみる。忙しいので入院患者同士のトラブルが発生しても、相当なトラブルにならない限りは簡単に病室の移動はしてくれません。
同じ部屋で、嫌な言動、行動、匂いなどがあってストレスを溜めながらの治療は効果にも違いが出るでしょう。

前向きでも、後ろ向きでも有意義に利用すべきであると私は思う。

注意点

公園でたたずむ猫

気持ちだけのリフレッシュに努めましょう。
特に食事だけは気を緩めないように!
好きな飲食を内容を考えずにすることだけは絶対マイナス
なってしまいます。節度を持って飲食を行ってください。
外泊の場合は生活リズムを変えないように!
主治医の許可を必ず取ってください。届け出などに記載されている内容を守りましょう!

外出、外泊は少しのゆとりをもたらしてくれる便利な制度!短い時間ですが自分自身でしっかりコントロールしてこのシステムを有効活用しよう。

話題の中心はガン再発の可能性に

せっかくの病院外での散歩の機会を得たのだが、病気に関する話題が95%を占めてしまった。
当然のことかもしれないが、もっと気の利いた会話をしてあげればよかった。
思ったより身体が弱っていて、ふらつく足取を隠すのが精一杯だった。
温かい室内を歩くのとは全く違って余裕がない。

妻は治療や病状の様子が効きたいらしくて盛んに質問してくる。
何より一番妻が心配しているのは大腸ガンが再発しているかどうかである。
病院で医療事務の仕事をしている妻は、医師や看護師に旦那の病状を心配されてアドバイスされたり、聞いてみたり日頃からしていますし、自身の仕事でも経験を積んでいる云わばプロなので、
事細かに分析するために私から医師や看護師の表情や話の内容(専門用語)についてかくさん質問されました。

今お世話になっている大学病院のスタッフに全面的な信頼感を持って全てをお任せしておりますが、
一応、セカンドオピニオン的な活用の仕方で妻の職場のスタッフのアドバイスを受け入れておりました。

こんな恵まれた環境にいる私だからこそ、多くの困難を乗り切れて来れたのだろうと改めて思います。

他の話は、思い出話がほとんど。

この博物館に子供達を連れて来たね!
春にお花見をしたね!
フリーマーケットに来たね!
鮮やかに輝いていた時が甦ります。

妻は話が苦手な方であり、
私は人前で話をする仕事もあるので、これまでの会話はいつも私がリードしていました。
ほとんどが私の独り言のような毎日。
でも今はその元気もなく弱々しい姿に妻が気を遣ってどんどん話しかけてくれる。
でも私は、どうしても将来の見えない展望を語るようになる。
来年の春は桜見に来たいね!と言えばいいのに、見れるかな!なんて言ってしまう。

何と優しさと余裕のない男よ!

海辺を歩く人

こんな雰囲気にしてしまうのはやはり
ガン再発の可能性が大いにあるからで、

まだガンの再発については、手術してみないと分からないという状態。
悲観的に見る必要はないのに何故か悲観的な雰囲気になっていた。

自分としてはすぐにでも収入のベースとして仕事に復帰して幅広く違う分野で稼いでいこうかとしている矢先に
妻は春過ぎに復帰できたらいいねなんて言っている。自分は1か月くらいで復帰しようと思っていた…

自分が思っているより病状が悪化しているのだろうか?なんて思ってしまう言い方であった。
こんな中での散歩が良い雰囲気で歩けるはずがない。
喧嘩や言い争いはなかったが、私の対応は返事しかないような余裕のないもので
本当に妻に対して申し訳なかったと反省しています。

とてもデートと言えるものではなかった。まるで最後の挨拶のチャンスをもらったようだ。
後で分かることであるがその事が現実になる可能性が大いにあったのでした。

再発、転移に関してはこちらを参照してください。
私もガンについてはこのサイトをバイブルとしています。  

妻の壮絶な気遣い

いつも病棟の出口付近まで見送るのがルーティーンでした。ほとんどの入院患者が入院階のエレベーターホールまで見送るのに対し、無理にでも1階出口まで見送りました。

医療関係の仕事をしている人は人の死や病気に対して慣れを感じているのだと思い込んでいました。
患者がどうなろうと冷静に対応することに慣れていて下手をすると平気とまでいかなくても
楽に次の日に仕事をこなすそんな人種だと思っていました。

でも、それは誤解です。

こんな不甲斐ない旦那のことで妻の心と身体は闘っているのでした。

帰りのエレベーター内でこんなことがありました。
エレベーター内は、見舞客が時間になって一斉に帰る時間でした。
一杯に乗り込んできます。エレベーター内のずっと奥に下がって妻の後ろの壁に寄りかかり
何気なく妻の後頭部に目をがいった。
薄くなっている後頭部を見つけ、1階まで到着する時間がとても長かったことを今でも忘れられません。
言い知れぬ悲しみが込み上げてくる。
泣かない事が精一杯だった…
絶対自分から弱音を吐かないいつも明るい妻の本当の姿を見たような気がする

プロだって人間だ!悲しいに決まっている。そうならないために全力で一緒に闘ってくれる。

そう思い、いつもより長い時間見送った。
姿が見えなくなるまで見送った…

それが今の私にできる精一杯の事だから
そして今後私のできることが明確に見えてきたのだ。

こっちを見る犬

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